コンサートの感想です。

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2000年9月から11月のコンサートの感想はこちら

January 21 2001
February 19 2001
March 11 2001
March 30 2001 & April 3 2001
April 16 2001
April 19 2001
April 29 2001
May 2 2001
May 4 2001
May 5 2001

January 21 2001

京都アルティ弦楽四重奏団 第4回公演(京都府立府民ホール「アルティ」)

曲目
ハイドン弦楽四重奏曲第67番「ひばり」
シューベルト弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」
豊嶋 泰嗣(vn) 矢部 達哉(vn) 川本 嘉子(va) 上村 昇(vc)

今年、というか今世紀最初に聴きに出かけたコンサートは、京都アルティ弦楽四重奏団の演奏会でした。 京都府立府民ホール「アルティ」の会館10周年を契機に、1998年に結成されたこの弦楽四重奏団、 年に1、2度の演奏会では常設のカルテットでないにも関わらず、とても息のぴったりあった演奏で楽しませてくださいます。
今日のお目当ては、「ロザムンデ」と「ラズモフスキー1番」、ともにコンサートでは初めて聴く曲です。
「ロザムンデ」の第1楽章冒頭、揺らめくように始まる旋律を聴くと、いつも切なさと不安とを感じ、 胸を締め付けられるような思いをするのですが、今日の演奏を聴いたとき、やはりそのような想いをひしひしと感じました。 劇音楽「ロザムンデ」の主題を用いた第2楽章の、どこか懐かしい響きに心慰められ、第3楽章を経て、快活な舞曲風の旋律の第4楽章。 切なさと不安感に始まり、過去への回想を経て、快活な舞曲で終えるこの曲、 シューマンの言葉を借りれば「天国的な長さ」を感じさせてくれる曲であり、今日の演奏も、そのような演奏でした。
休憩をはさんで、ラズモフスキー1番。交響曲「英雄」、「運命」、「田園」などが作曲された中期の作品で、 ウィーン駐在ロシア大使のラズモフスキー伯爵の依頼によって作曲された曲の弦楽四重奏曲の第1曲です。 第1楽章冒頭でチェロが快活に主題を奏で、上3声がリズムを刻んでいるのを聴くと、ベートーヴェンがこの曲で新しい時代を開いたのだな、という事をつくづく感じます。 第2楽章を経て、悲しげな第3楽章。その悲しげな主題は涙に暮れているようですが、途切れる事なく第4楽章に入ると、快活なロシア民謡風の主題に取って代わり、 コーダでは、静かに曲が終わるのかな・・・と思わせておいて最後の9小節はプレストで突っ走ります。 第1楽章冒頭から第4楽章のコーダ、プレストで突っ走るところまで、緊張感の途切れない、素晴らしい演奏でした。

February 19 2001

SAWA QUARTET ベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルス第5回(大阪 ザ・フェニックスホール)

曲目
弦楽四重奏曲第2番
弦楽四重奏曲第1番
弦楽四重奏曲第14番
澤 和樹(vn) 大関 博明(vn) 市坪 俊彦(va) 林 俊昭(vc)

SAWA QUARTETの、ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏チクルスの第5回公演でした。
今回の公演は、前期の四重奏曲からの2曲と、後期から1曲。この日のお目当ては14番。14番を生で聴くのは初めてでとても楽しみにしていました。

このベートーヴェン最晩年の大作、演奏時間40分程度とかなり長く、「ラズモフスキー・セット」の3曲と同じくらいの長さなのですが、 今回の演奏では40分という長さを感じさせませんでした(私自身が好きな曲である、ということもあるでしょうが)。
その理由としては、7つ(!)ある楽章が、それぞれ長さも趣きも異にしているためではないか、と思われます。
第1楽章のフーガは、重く、暗い雰囲気で、寒い冬の夜空の下、孤独に押しつぶされそうな感情を抱かせる楽章。 第2楽章のアレグロは、打って変わって、ロンド形式で、心楽しい。第3楽章は間奏曲的であり、第2楽章から第4楽章への橋渡しの役割を果たす僅か11小節の楽章。 第4楽章の変奏曲は、変奏ごとに楽想が変転し、夢のようなひとときを感じさせる。第5楽章のプレストは軽快なリズムのスケルツォ。 楽章の終わりの方で、おそらく1820年代としてはかなり珍しいと思われる、スルポンティチェロ奏法(弓を駒のすぐ近くに持っていって弾く奏法)が用いられていて、 音響的にも効果バツグン。第6楽章は、まるで誰かを追悼するかのような、寂しさに溢れた、短い緩徐楽章。最後の第7楽章はアレグロ。 ソナタ形式の楽章で、力強いリズムで軽快な音楽でありつつ悲愴さを感じさせる。 こういった、それぞれに趣の異なる7つの楽章が切れ目なく演奏されるのが14番の特色でしょう。
SAWA QUARTETの演奏は、私が普段聴き馴染んでいるイタリア四重奏団の演奏に比べると、アレグロの楽章がやや遅く、アダージョの楽章がやや速い、 全体としてテンポの振れが小さめな印象を受けました。第1楽章と第2楽章、第6楽章と第7楽章で大きく雰囲気が変わるのですが、その対比を鮮明に聴き取る事ができた、 充実した演奏でした。

March 11 2001

アルド・チッコリーニ ピアノリサイタル(滋賀県栗東町 栗東芸術文化会館さきら大ホール)

曲目
ベートーヴェン ピアノソナタ14番「月光」
ベートーヴェン ピアノソナタ31番
ベートーヴェン ピアノソナタ29番「ハンマークラヴィーア」
アルド・チッコリーニ(p)

日本国内のコンサートホールではこの「さきら」にしか置いていないという、 イタリアのピアノ「ファツィオリ」。 「さきら」のファツィオリを選定したのがチッコリーニ自身、ということで、 初めて聴く「ファツィオリ」の音色を楽しみに出かけてきました。
当日は、私の集中力がハンマークラヴィーアの第3楽章に入った辺りで完全に底をついてしまったため、 コンサートの感想、と言っても、主に前半2曲についての感想になってしまうことをご了承ください。

特に印象に残っているのは、月光の第2楽章と、31番の終楽章のフーガ(の終わりの方)。
月光の第2楽章が、スキップをしているような、あるいは軽やかなステップを踏むようなリズムで演奏されていた事と、 31番のフーガの終わりの方(コーダ?)、今にも止まりそうなテンポからどんどんアッチェレランドしていき、 音楽が解放されていくように感じられたのがとても印象的でした。
また、3曲ともに言える事なのですが、あたかもイタリア歌曲を聴いているかのような旋律の歌わせ方をしているな、 と感じられました。

さて「ファツィオリ」の音色ですが、特に中音域の音が澄んだ、美しい音色でした。 高音域も、鐘の音を思わせる響きで、一緒に聴きに出かけた友人の感想を引用すると、 「いかにも木が鳴っている、という音色」との事でした(私はピアノの音色に疎くて、そこまでは分かりませんでしたが)。

March 30 2001 & April 3 2001

「コンセルヴァトワールの巨匠たち」(30日京都コンサートホール、3日大阪いずみホール)

曲目
ドヴォルザーク2台のヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲
R.パスキエ(vn) 森悠子(vn) B.パスキエ(va)
ウェーバーフルート、チェロとピアノのための三重奏曲
Ph.ベルノルド(fl) Ph.ミュレール(vc) O.ガルドン(pf)
バルトーク44の二重奏曲(ヴァイオリン2)より
R.パスキエ(vn) G.プーレ(vn)
休憩
ブラームスヴィオラ・ソナタ第1番
B.パスキエ(va) G.ブリュデルマッシェール(pf)
フォーレやさしき歌
A.メロン(sop) G.プーレ(vn) 森悠子(vn) B.パスキエ(va) Ph.ミュレール(vc) 新 真二(cbs) C.イヴァルディ(pf)

今回の「コンセルヴァトワールの巨匠たち」のプログラムは、ドイツ系、東欧系の曲が主体。 その中で特に興味深かったのは、バルトークのデュオとフォーレの歌曲でした。
バルトークの二重奏曲は、44曲の中から13曲を抜粋しての演奏でした。中でも印象に残っているのは「ピッチカート」と名付けられた曲。 その曲名のとおり、全曲がピッチカートだけで演奏される曲でしたが、ギターを弾くような感じで弦を弾くピッチカートや、 弦を指でつまんで指板に当てるような感じで弾くピッチカートなど、弦楽四重奏曲でも使われている様々な種類のピッチカート奏法を目の当たりにし、 同時に音色を聴き取る事が出来たのは興味深かったです。
ブラームスのソナタは、今回の曲目の中で唯一知っている曲でした。 京都公演では、ピアノのミスタッチやヴィオラとピアノの音が合っていない部分も何箇所かあったのですが、大阪公演ではそういうハラハラさせる要素もなく、 若干ピアノの音が強く感じられる面もあったものの情熱的なヴィオラとピアノのアンサンブルを楽しむ事が出来ました。
フォーレの「やさしき歌」は、もともとはピアノ伴奏の曲だったそうですが、フォーレ自身がピアノ・弦楽四重奏・コントラバス伴奏に編曲したという版での演奏でした。 フォーレに始まりラヴェルへと引き継がれていく、響きや音色そのものの明るさや美しさに惹きこまれました。

April 16 2001

SAWA QUARTET ベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルス第6回(大阪南森町 モーツァルト・サロン)

曲目
弦楽四重奏曲第5番
弦楽四重奏曲第10番
弦楽四重奏曲第13番
澤 和樹(vn) 大関 博明(vn) 市坪 俊彦(va) 林 俊昭(vc)

SAWA QUARTETの、ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏チクルスの第6回公演、1年間にわたったチクルスの最終回でした。

が、当日は客先での仕事が長引いて、中之島にある客先を出たのが夜8時、出先から会場までタクシー飛ばして、 会場についたら5番と10番の演奏が終わった後の休憩時間。 最低限でもこの曲を聴きたい、と思っていた13番だけは何とか聴く事ができました。

いつもながらの澤カルテットの安定したアンサンブルで聴く13番。昨年7月のチクルス第2回では、 終楽章に「大フーガ」を置いた版で13番を演奏されたのですが、今回は、軽快なアレグロ楽章による版での演奏でした。
印象に残ったのは第5楽章の「カヴァティーナ」。中間部、テンポの速くなるところで、まるで風が吹き抜けるような印象を受け、 「儚さ」を感じさせました。
アンコールの前に澤さんが、
「どうにか17曲を演奏しとおす事ができました」
と仰った、 その一言に澤さんの深い思い入れを感じました。
アンコール曲は、16番の第3楽章。ベートーヴェンの後期カルテットの中では、15番の第3楽章、 13番の「カヴァティーナ」と並んで気に入っている楽章で、チクルスの最後を締めくくられて、 個人的にはとても嬉しかったです。

April 19 2001

オーケストラル・バレエ「ロメオとジュリエット」(大阪 フェスティバルホール)

曲目
プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)
リトアニア国立バレエ団
新日本フィルハーモニー交響楽団

以前から、この公演の話は、個人的な知り合いの新日本フィルの団員さんから聞いていたのですが、 行けるかどうか当日まで分からず、開演の30分前になって当日券を入手して聴きに出かけた、という慌しさで、 予習も全くしていない状態でした。
バレエそのものをはじめて観たのですが、舞台はかなり斬新なものでした。 通常であれば、オケはピットに入って演奏するはずですが、オケは舞台の上に乗り、なにやらマントのような衣装と 帽子を身につけて演奏していました。そして、指揮者はオケの中央に位置し客席の方を向いての指揮。 オケは舞台の中央に位置し、ダンサー達は、舞台の前の方と後ろの方で踊り、オーケストラの中を駆け抜けて舞台を行き来する、 という趣向でした。
3時間にも及ぶ舞台の最後、息絶えたロメオとジュリエットが舞台上に横たわるシーンで、ロストロポーヴィチが指揮台を離れて 舞台へ歩み寄り、ロメオとジュリエットの手を取って重ね合わせる、という演出があったのですが、この心憎い事!
ロストロポーヴィチが憎しみあう両家の和解を取り持つという演出、 長年にわたるロストロポーヴィチ自身の行動を端的に表していると感じました。

終演後、新日本フィルの友人と話していたのですが、オケの真中をダンサーが駆け抜けていくのはとても気になったとの事。 指揮棒をじっと見つづけて演奏していると、視界をダンサーが駆け抜けるのではっとする事が何度かあったそうです。

April 29 2001

第7回大垣音楽祭「オープニングコンサート」

曲目
モーツァルトロンド K.485
ショパンアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ op22
山本 亜希子(p)
タファネルアンブロアーズ・トマのオペラ「ミニオン」の主題による大幻想曲
灘波 薫(fl) 石橋 尚子(伴奏)
リスト『超絶技巧練習曲集』より 第7番「エロイカ」
バルトーク2つのルーマニア舞曲 作品8a Sz.43
森 朝(p)
ショーソン詩曲
菅谷 史(vn) 山本 亜希子(伴奏)
ショパンバラード第4番
堀 江里子(p)
ブロッホヘブライ組曲
村上 淳一郎(va) 森忠 青香(伴奏)
ラヴェル高雅で感傷的なワルツ
グラナドスわら人形
高橋 直美(p)

毎年ゴールデンウィークの時期に岐阜県大垣市で、国内のトップアーチストを集めて開催される大垣音楽祭がいよいよ開催されました。 全国オーディションで選抜された新人演奏家によるオープニングコンサートでしたが、みなさんこれからの活躍が期待できそうな演奏をされました。

特に印象的だったのは、ショーソンの詩曲を演奏された、ヴァイオリンの菅谷史さんの演奏でした。
詩曲は、通常であればヴァイオリンとオーケストラ伴奏の曲ですが、今回はピアノ伴奏でした。 冒頭のピアノ伴奏部分では、会場内が少しざわざわしていたのですが、ヴァイオリン・ソロに入った瞬間、一瞬にして会場内が静まり返ったのでした。 かなりの難曲と思われる詩曲を、完璧に弾ききっただけでなく(E弦での、 「これ以上は無理」というようなハイポジションもしっかり決めていた!)、しっかりと聴かせる演奏をされた菅谷さん、 今回出演の7人の新人の中でも群を抜いた存在であることは間違いないと思います。

他には、リストとバルトークを演奏されたピアノの森さん、ヴィオラの村上さんも印象に残っています。
東欧の民族衣装を思わせるステージ衣装で登場の森さん、パワーに溢れた複雑なリズムのバルトークをしっかり聴かせて下さいました。 バルトークのピアノ曲は全く聴いた事がなかったのですが、これをきっかけに興味が出てきました。
ヴィオラの村上さんは180センチを超える長身で、私が今までに見た中では最も巨大なヴィオラを自在に操り、美音を奏でていらしたのが印象に残りました。

今回登場の7人の新人のうち、フルートの難波さん、ヴィオラの村上さん、ヴァイオリンの菅谷さん、ピアノの高橋さんは、 2日、4日、5日の有料コンサートにも出演が決まっています。 特に菅谷さんは3回の公演全てに出演される、という事からも分かるように、演奏家陣からの期待はかなり大きいものと思われます。

May 2 2001

第7回大垣音楽祭「ダイナミック室内楽T」

曲目
モーツァルトフルート四重奏曲第1番 K.285
灘波 薫(fl) 戸田 弥生(vn) 店村 眞積(va) 毛利 伯郎(vc)
ドホナーニ六重奏曲 op37
弘中 孝(pf) 加藤 知子(vn) 村上 淳一郎(va) 堀 了介(vc) 山本 正治(cl) 松崎 裕(hr)
ロッシーニ弦楽ソナタ第3番
戸田 弥生(vn) 菅谷 史(vn) 堀 了介(vc) 西田 直文(cb)
ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
藤原 浜雄(vn) 久保 陽子(vn) 菅沼 準二(va) 上村昇(vc)

毎年ゴールデンウィークの時期に岐阜県大垣市で、国内のトップアーチストを集めて開催される大垣音楽祭。 大垣音楽祭のリピーターになって、今年で4年目。

プログラムにはなかったのですが、3月に前大垣市長(大垣音楽祭の開催に尽力されたそうです)が急逝されたとのことで、 追悼の意味をこめてバッハのG線上のアリアと、プッチーニの「菊」を、弦楽器奏者全員で演奏されました。
モーツァルトの曲は、3楽章からなる曲ですが、第2楽章は弦楽器奏者が3人ともピッツィカートで伴奏し、 フルートが悲しげな旋律を歌っていたのが印象的でした。
モーツァルトのフルート四重奏曲、なんか聴いた事ある曲だな、と思っていたら、少し前に聴いていました。
今回の演目で特筆すべきは、ドホナーニの六重奏曲でした。ピアノ、弦(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)、クラリネット、ホルンという、 やや変わった編成の曲なのですが、メロディアスな部分と、勢いよく突っ走る部分との対比が面白い曲でした。4楽章の曲で、 第4楽章はプログラムでは「アレグロ」となっていますが聴いた感じでは「プレスト」に近いように思えました。
ゲネプロの際、全曲弾き終えた後でチェロの堀さんが「この曲、難しいし疲れる」とポツリともらされた事からも分かるように、 もう、ピアノも弦も管も弾きまくる弾きまくる・・・。
休憩をはさんでロッシーニ。弦楽器4台の曲ですが、通常の弦楽四重奏と異なるのは、ヴィオラがなく、コントラバスがあること。 そのため、重厚な印象を受ける曲です。プログラムによると、ロッシーニはわずか12歳でこの弦楽ソナタ(全6曲)を作曲したそうです。
最後のドヴォルザークの「アメリカ」は、ベテラン4人による演奏でしたが、「若々しく溌剌とした」と形容するのが相応しい演奏でした。

May 4 2001

第7回大垣音楽祭「ダイナミック室内楽U」

曲目
ベートーヴェンモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」より「手をとりあって」の主題による変奏曲
小畑 善昭(ob) 山本 正治(cl) 前田 信吉(fg)
ウェーバーピアノ三重奏曲 op63
高橋 直美(p) 白尾 彰(fl) 堀 了介(vc)
コダーイセレナード op12
藤原 浜雄(vn) 菅谷 史(vn) 店村 眞積(va)
ブラームスピアノ三重奏曲第1番 op8
迫 昭嘉(p) 加藤 知子(vn) 上村昇(vc)
バルトーク弦楽四重奏曲第3番
久保 陽子(vn) 戸田 弥生(vn) 菅沼 準二(va) 毛利 伯郎(vc)

第7回大垣音楽祭の有料コンサート第2夜、3回の有料コンサートの中で、中心となるのはこの演奏会だろう、 というのは一緒に聴いた友人との共通した意見です。
その中で印象に残ったのはブラームスとバルトーク。 ブラームスは加藤さんのヴァイオリンの音色が抜けるように美しかったのと、チェロの上村さんの渋みのある音色が印象的。 ピアノの迫さんも嫌味のない素直な音色でした。
バルトークは、一昨年の1番と昨年の2番は原田幸一郎さんの第1ヴァイオリンでしたが、 今年は原田さんが出演されていないので久保さんが第1ヴァイオリンでした。 演奏時間にしては16、7分と短いのですが、密度の濃い音楽を常設の四重奏団ではない4人がどのような演奏を聴かせてくれるのか、 3回の演奏会を通じて最も楽しみにしていた1曲でした。様々な特殊奏法を駆使し音量変化も激しい、かなりの難曲と思われるバルトークの3番、 ところどころ音が鳴り切っていない箇所もありましたが、チェロとヴィオラがとても安定していたのでその意味では安心して聴きとおせました。 特にコーダでのエネルギーの爆発は快感!でした。

May 5 2001

第7回大垣音楽祭「ダイナミック室内楽V」

曲目
サラサーテナバーラ op33
久保 陽子(vn) 加藤 知子(vn) 高橋 直美(p)
ラフマニノフ交響的舞曲 op45
迫 昭嘉(p) 弘中 孝(p)
ガーシュイン3つのプレリュード
ホロヴィッツミュージックホール組曲
福田 善亮(tp) 高橋 敦(tp) 松崎 裕(hr) 小田桐 寛之(trb) 渡辺 巧(tub)
プーランク小象ババールのお話
迫 昭嘉(指揮) 花穂 まりあ(お話)
弘中 孝(p) 藤原 浜雄 加藤 知子 菅谷 史(1st vn)
久保 陽子 戸田 弥生(2nd vn) 菅沼 準二 店村 眞積(va) 毛利 伯郎 上村 昇(vc)
西田 直文(cb) 白尾 彰(fl) 山本 正治(cl)

第7回大垣音楽祭の最終日。3回目の有料コンサートは、3回のうちで最も楽しいプログラムでした。

最初はサラサーテの「ナバーラ」。2台のヴァイオリンとピアノの曲ですが、ヴァイオリンは、ほとんど同じ旋律を左右で弾いていました。
もっとも聴き応えのあった曲はラフマニノフの交響的舞曲。2台ピアノの曲で、なんでもラフマニノフ最後の作品だとか。 聴き応えはあったけれど、10分程度の楽章が3つ、計30分間、ラフマニノフに特有のパワフルな音色を聴きつづけると、 さすがに疲れを感じたのは否めないところです。

3日間の演奏会で最も異色だったのは、ガーシュインとホロビッツの金管五重奏曲。 プログラムではガーシュイン、ホロビッツの順でしたが、実際の演奏はホロビッツ、ガーシュインの順でした。 ここでのホロビッツは、著名なピアニストのホロビッツではなく、ジョセフ・ホロビッツという、 1926年ウィーンに生まれた作曲家・指揮者・ピアニストとのこと。 私の手持ちの音楽辞典2冊ともにその名前はありませんでした。
金管五重奏のメンバーは、トレーナー、ジーンズ、スニーカーという格好や、ジャケット、ダンガリーシャツ、 スラックス、スニーカーといった、カジュアルな姿での登場。トランペットの福田さんのMCで、
「楽しい金管五重奏の時間がやって参りました。我々も燕尾服は一応持ってきましたが、曲が曲なのでこういう格好で演奏いたします」
というコメントがあったように、ホロビッツの方はポップな感じ、ガーシュインの方はお馴染みのジャズっぽい雰囲気の2曲でした。

最後の「小象ババールのお話」は、プーランクオリジナルのピアノ版ではなく、 寺嶋陸也の編曲による合奏版(ピアノ、フルート、クラリネット、弦5部)による演奏でした。 オリジナルのピアノ版も充分に色彩豊かな音楽なのですが、弦、フルート、クラリネットが加わる事により、 オリジナルよりもさらに音色の色彩が際立ったように感じました。 お話の花穂さんも、若いお母さんが小さな子供に絵本を読んで聞かせているかのように、本当に表情豊かなナレーションでした。

3日間の演奏とも、本番直前のゲネプロからずっと見学し、演奏会の本番も聴かせて頂いたのですが、 最終日のゲネプロが最も演奏者の方がリラックスされていたように感じました。
サラサーテのナバーラではピアノの弘中さんが客席で聴いていて「2人(加藤さんと久保さん)、分離しない方がいいよ」とアドバイスしたのですが、 それを聞いた加藤さん、わざと真面目な顔をして久保さんと横に並んで弾いたり、久保さんが前、加藤さんがそのすぐ後にぴったりくっついて弾いてみたり。 客席からも笑いがこぼれました。前後に並んで弾き終えた後の加藤さん、「あ、これいいかも!」と冗談を言ってました。
「小象ババールのお話」では、弦楽器奏者が揃い、指揮の迫さんやナレーションの花穂さんが現れる前、舞台の上が緊張してきたタイミングで、 チェロの毛利さんがおもむろに低い音で演奏をはじめました。なんと、前夜に弾いたバルトーク弦楽四重奏3番の冒頭部分! これには舞台の全員が爆笑していました。

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