お気に入りのCD/DVD - 室内楽曲

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室内楽のCD/DVDが43件見つかりました。

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ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番
ハーゲン・カルテット
ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は12から16番と「大フーガ」ですが、実際の作曲順序は、12,15,13,14,16番の 順で、この14番は実際には15番目の弦楽四重奏曲です。作曲順序と作品番号がずれているのは、単に出版の順序がずれていたから、 という理由です。
15番が5楽章構成、13番が6楽章構成、そしてこの14番が7楽章構成と、作曲順序に従って楽章が1つづつ増えていって、 古典的な楽章構成からだんだん逸脱しているのです。もっとも、最後の16番では「伝統的な」4楽章構成に戻っていますが。
長大で内省的で哀しげな旋律で歌う第1楽章、活き活きとした明るい主題をもつ第2楽章、ごく短い間奏曲である第3楽章、内省的では あるものの穏やかで明るい主題が変奏する第4楽章、冒頭でチェロがプレストで突っ走りそのままの勢いで軽快に走る第5楽章、悲しみに 満ち、13番のカヴァティーナと雰囲気の似ている短い第6楽章、力強く明るい主題で始まり、最後に強烈な3つの和音でやはり力強く 終わる第7楽章。様々に変転する感情を描くこの四重奏曲、晩年のベートーヴェンの不安定な感情を反映したものなのだろうか?

このCD、余白部分にウィンドウズPCで見る事のできる楽譜が収録されています。それも、ただ楽譜が収録されているだけではなく、 PCでCDを再生すると、音楽に合わせて楽譜が動くというスグレモノ。

ショスタコーヴィチ ピアノ三重奏曲第2番/チャイコフスキー ピアノ三重奏曲
Martha Argerich(piano), Gidon Kremer(violin), Misha Maisky(cello)
あまりにも有名な、アルゲリッチ/クレーメル/マイスキーの夢のトリオの、墨田トリフォニーホールでのライブ録音CDです。 「このトリオのネームバリューに惹かれて買った」と言っていたものの、普段室内楽を聴かない友人がこのCDを持っていて驚いた事があります。
それはさておき、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキーのトリオとも、亡くなった友人への追悼のために書かれたという点で共通していて、 CDのブックレットには故ラインハルト・ポールセン氏に捧げられた、と書かれていました。

ショスタコーヴィチは、第4楽章、ピアノ、チェロ、ヴァイオリンが繰り返し奏でる「ユダヤの主題」(後に弦楽四重奏曲第8番にも引用される事になる)で 特に言えるのだけれど、恐るべき集中力を感じます。これだけの演奏をライブで実現できる、というのは驚くべき事です。 しかも、3人ともが個性の強い、一流のソリストなのだから。

チャイコフスキーは、第1楽章の、友人との楽しかった思い出を回想するかのような雰囲気のアレグロの部分と、 友人を失い悲しみに暮れているかのようなアダージョの部分との対比が特に印象深いです。第2楽章の変奏曲は、 楽しかった思い出の回想、悲しみに暮れる思い、友人の微笑ましいエピソードを思い出したりと、 後に残されたチャイコフスキーが感じたであろう様々な感情の変転を描き出し、最後の変奏のアレグロの快活な曲想から、 第1楽章の悲しみに暮れた主題が戻ってきて、悲しみに暮れたコーダ。コーダでは、少しずつ、消え入るように、静かに曲を終え、 チャイコフスキーの悲しみがにじみ出ているように感じました。

ケクラン オーボエのための室内楽曲集
Lajos Lancses(Oboe & English Horn), Gaby Pas-van Riet(flute), Parisii-Quartet, Lucia Cericola(Harp), Kalle Randalu(Piano)
シャルル・ケクラン(Charles Koechlin)は、1867年生まれ、1950年没のフランスの作曲家です。 ドビュッシーやラヴェルと同世代であるが故か不当に低い評価をされているように思われます。220曲以上もの作品を残していながら、 なぜか、1曲として有名な曲がないのですから・・・。ここで紹介するのは、ケクランが残した、オーボエを含む室内楽曲の作品集です。

7つの楽器のためのソナタ(op.221)は、オーボエ、フルート、ハープ、弦楽四重奏のための4楽章のソナタで、1949年、ケクラン最晩年の作品。
オーボエが歌いだす物悲しいメロディに、弦楽四重奏がひっそりと寄り添い、やがて、オーボエとフルートが絡み合って、そして静かに消え入る第1楽章と、 オーボエ、フルート、ハープが絡み合い、弦楽四重奏が伴奏し、静かで安らかなメロディを奏でる第3楽章がとても魅力的。

14の小品(op.179)は、オーボエとピアノのための作品集で、1942年の作品。
オーボエの歌うメロディとピアノの伴奏が創り出す音楽は、あくまでも透明で静か。時おりしのびこむ、陰りを帯びたメロディは、戦争への悲しみなのだろうか?

ケクランの音楽は、他にも、オンド・マルトノ(いまのシンセサイザの祖先にあたる楽器)のための独奏曲や、 「リリアンのアルバム」という題名の、映画女優リリアン・ハーヴェイをイメージして作曲された曲など、様々な曲があります。

ブラームス クラリネットソナタ第1番、第2番
Thea King(clarinet), Clifford Benson(piano)
晩年のブラームスは、創作力の衰えを感じ、静かな余生を送ろうと考えていたが、クラリネットの名手、ミュールフェルトの演奏に接して再び創作意欲をかき立てられた。 そうしてブラームスは、最晩年にクラリネットを用いた室内楽曲を4曲作曲した。最初にクラリネット三重奏曲、続いてクラリネット五重奏曲を作曲し、最後に、ここで 紹介する2曲のクラリネット・ソナタを作曲した。
第1番のソナタは、静かで穏やかな表情の底に憂愁と諦念を感じさせる曲。第2番のソナタは、穏やかさと激しさという、相反する2つの側面を見せるものの、 その底にはやはり、憂愁と諦念とを感じさせる。そうかといって2曲とも暗い曲だというわけではなく、どちらの曲も終楽章は華やかに、あるいは力強く終わるということと、 クラリネットの音色のおかげで、明るさや快活さの中に憂愁と諦念を感じ取る事のできる、そういう味わい深い曲です。
私は梅雨の時期になると、ブラームスのクラリネットを含んだ室内楽曲(ここで紹介したクラリネットソナタのほか、クラリネット三重奏曲、クラリネット五重奏曲)を 好んで聴くのですが、ブラームスの諦念や憂愁感が梅雨の時期の気候としっくりくるからでしょうか。

ニーノ・ロータ 室内楽曲集
Ex Novo Ensamble
ニーノ・ロータ(1911-1979)は、映画音楽の分野で有名な人らしく(私は、映画をほとんど見ないので知りませんでしたが・・・)、 「ゴッドファーザー」などのテーマ音楽を書いているそうです。
20世紀の作曲家であるロータですが、作風は前衛的なものではなく、とても聴きやすいものです。フルートとハープのためのソナタ(1937)と、 フルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、ハープのための五重奏曲(1935)の2曲は第2次大戦前夜の作品ですが、メロディも響きもひたすら美しくて透明で 聴いているだけで心が洗われる、そんな表現がぴったり来るような曲です。
弦楽四重奏曲(1948)も、穏やかで親しみやすい雰囲気の曲。
フルート、ヴァイオリン、ピアノのための三重奏曲(1958)は、バルトークやジョリヴェなどの一部の作品に見られるようなバーバリズムの影響があるのかな、 と思わせる作品。とは言え、同じくフルートを用いたジョリヴェの「リノスの歌」の方が音響的には斬新。
クラリネット、チェロ、ピアノのための三重奏曲(1973)は、第1楽章では焦燥感を、第2楽章では憂愁感を感じさせる半面、終楽章である第3楽章は プーランクの室内楽のアレグロ楽章にも通じるようなユーモラスな雰囲気。第3楽章だけ聴けばプーランクの室内楽と思ってしまいそう。
20世紀の半ばから後半にかけて活躍したロータの作品は、このCDに収められた作品を聴く限り、穏やかで聴きやすい曲が多く、 これからもっと注目されればいいのに、と思います。

バルトーク 弦楽四重奏曲全集
Hagen Quartett
ハンガリー人であるバルトークは、その生涯に6曲の弦楽四重奏曲を書き残し、その6曲は「現代の弦楽四重奏にとっての古典」と言われるほど、緻密な音楽です。 第2次大戦後、共産主義支配下のハンガリーでは、バルトークの弦楽四重奏曲は前衛的という理由で演奏を禁じられていたと、 ハンガリー出身の作曲家リゲッティは回想しています。

第1番は1908年から1909年にかけて作曲され、後期ロマン派的な色彩の濃い作品。切れ目なく3つの楽章が演奏されるこの曲、 めまぐるしくリズムが変化し、無調的な旋律が続くので、初めて聴いたときは少ししんどいものがあったのですが、 昨年(1999年)コンサートで2度実演を聴き、今年に入ってハーゲン・カルテットの演奏を聴く頃には耳が慣れてきて、 ラプソディックな曲想を楽しむ事ができるようになりました。この曲、シェーンベルクや、ドビュッシー、ラヴェルの影響を受け、 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲14番にもヒントを受けている、と言われているようですが、曲全体の印象としてたしかに「盛り沢山」な感じを受けました。 とはいえ、すでに自分自身の語法で音楽をまとめ切っているのがバルトークの音楽の素晴らしいところ。

第2番は1915年から1917年、第1次世界大戦中の作品。第1楽章は、無調的な旋律に始まり、 古典や前期ロマン派音楽に慣れた耳には不安定な旋律とリズムで音楽が進んでいきます。 戦争がバルトークに暗い影を投げかけているのだろうか、とも思わせるこの楽章、後半の部分で日本人の耳には妙に懐かしい印象を与える民謡風の旋律が現われます。 第1楽章を聴いたとき、「とても不安な夜」という心象風景をなぜか連想しました。私個人の話ではあるのですが、立場上、 気持ちを伝えにくい女性に恋愛感情を持ってしまって感情が不安定に揺れ動いていたとき、この第1楽章を好んで聴いていました。 第2楽章は一転して、荒々しいくらいの激しさを持った音楽。リズムが複雑に変化するこの楽章、北アフリカ民謡の研究成果を取り入れているとか。 第3楽章は、静かで、微妙なニュアンスをたたえたレント。「夜の音楽」と形容するのがぴったりしそうな音楽。 とは言え、モーツァルトのそれとも、マーラーのそれとも異なる、不安な気持ちを胸の内に秘めた夜、という印象を受けます。

第3番は1927年の作品。単一楽章の曲ながら、CDでは第1部、第2部、コーダというトラックの切り方をする事が多いようです。演奏時間も15分強と、 バルトークの弦楽四重奏曲の中では最も短いものですが、作品はかなり斬新。 リズムの複雑さと、様々な特殊奏法を駆使して音色に微妙なニュアンスを醸し出しているところなど、バルトークの面目躍如、と言ったところでしょうか。

第4番は1928年の作品。5楽章からなる第4番、続く第5番と共に5楽章構成で、第3楽章を中心として第1楽章と第5楽章、 第2楽章と第4楽章がそれぞれ関連を持つ、バルトーク特有のアーチ構造の作品です。 特に印象的なのは第3楽章と第4楽章。第3楽章はレントで、第2番のレント楽章とも共通する、夜の音楽。 中間部分でヴァイオリンが鳥の鳴き声を模しているのがなんとも耳に残ります。第4楽章は全曲を通じてピッツィカートで演奏されます。 その音色の繊細さ、微妙さはなかなか興味深いです。

第5番は1934年の作品。第4番と同じく、5楽章構成でアーチ構造をもつ作品ですが、第4番で見られた音響的な斬新さや、 リズムの複雑さは影をひそめているように思えます。

第6番は1939年の作品。ナチスがチェコを占領し、バルトーク自身も母を失い、世界情勢が戦争に向かっていく中で、ヨーロッパ文化の伝統が失われてしまう予感、 そういった事情から全曲に悲しみと諦念が満ちていて、4つの楽章全てにメスト(悲しげに)という発想標語が記されています。 バルトークはこの弦楽四重奏曲を作曲したあと、祖国ハンガリー、そしてヨーロッパを離れ、アメリカに亡命します。 そしてアメリカで貧困のうちに1945年亡くなるのですが、後世からそのような事情を振り返る私達は、第6番の中に悲しみと諦念だけでなく、 バルトークがヨーロッパとの永遠の別離を予感してそのような感情を盛り込んだ、とも感じて、そのような思いを聴き取りがちです。 第6番の終楽章である第4楽章を聴くと、その音楽の悲痛な響きの中に、どうしても悲しみと諦念だけでなく、永遠の別離の予感をも感じてしまいます。

私は、バルトークの弦楽四重奏曲全集は、ハーゲン・カルテットのこのCDの他に、巌本真理四重奏団の全集(音源が放送用の録音で、 放送時間の関係から第5番の第4楽章が省略されている)と、東京カルテットの全集(グラモフォンからリリースされている盤)とを持っており、 3者を聴き比べてみると、時代が下るにつれてカルテットの演奏技術が上がって、解釈もよりこなれてきている、という印象を受けました。 巌本真理四重奏団や東京カルテットの演奏を聴くと、「現代音楽に必死で取り組んでいる」という印象を受けるのですが、 ハーゲン・カルテットの演奏を聴くと、このカルテットが現代曲も積極的に演奏しているという事情もあるのでしょうが、 バルトークの弦楽四重奏曲をもはや古典音楽として捉え、気負いなく演奏しているように思えます。

フィビヒ ピアノ四重奏曲・ピアノ五重奏曲
Ensemble Villa Musica
ズデニェク・フィビヒは、1850年生まれ、1900年没のチェコの作曲家。 私自身、没後100年を迎えた今年の夏に友人に教えてもらうまで名前すら聞いたことがありませんでした。 ややもすると先輩格のスメタナやドヴォルザーク、同世代のヤナーチェクの陰に隠れがちではありますが、 聴いてみるといい曲多いんです。
ピアノ四重奏曲は、23歳の時の作品で「若書き」と言えなくもないけれど、その作風はどこかシューマンを思わせるものがあり、 この作曲家が若くして既にドイツ前期ロマン派の作風を身につけていた、ということは明らかです。 響きはシューマンに似ているけれど、曲の雰囲気は短調でありつつあまり暗さを感じさせないものです。 さらに聴いてみると、ドヴォルザーク風の旋律(あるいはチェコ民謡のエコー?)もあちこちに聴こえてきて、 「ああ、やはりチェコの作曲家なんだ」と思わせます。
ピアノ五重奏曲は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、ホルンという編成で、43歳の時の作品。 クラリネット、ホルンという楽器を使っているせいか、ホルンに注目するとブラームスのホルン三重奏曲を連想する部分もあり、 そこにクラリネットがからんでくるので、とても渋い響きを楽しめます。この曲では、シューマンよりはブラームスに近いと感じましたが、 ホルン・トリオと印象がダブったせいかも知れません・・・。しかし、やっぱり旋律はドヴォルザーク風です。
フィビヒの曲は、よく「シューマン風」とか「前期ロマン派的」と評されるようで、実際そういう部分も多いのですが、 繰り返し聴いてみると、ドヴォルザークにも通じる旋律−チェコ民謡風の旋律?−もしっかり聴こえてきて、 やはり紛れもない、チェコの作曲家なのだ、と認識を新たにしました。

フィビヒ 弦楽四重奏曲集
Kocian Quartett
チェコの作曲家ズデニェク・フィビヒ(1850-1900)は、まだ日本ではあまり知られていないようです。 フィビヒは、3曲の交響曲をはじめとして、室内楽、オペラ、ピアノ曲と数多くの曲を残しているのですが、 スメタナやドヴォルザークのような民族的な作風というよりも、むしろ前期ロマン派的な作風のせいか、 いまだに日本ではさほど注目されていないようです。
このCDに収められている弦楽四重奏曲は3曲あり、CDの収録順に、「弦楽四重奏曲」ト長調op8(1878)、「主題と変奏」変ロ長調(1883)、 「弦楽四重奏曲」イ長調(1874)と、いずれも比較的若い時期の作品です。
ト長調の弦楽四重奏曲は、第1楽章(アレグロ)を聴くとメンデルスゾーンのカルテットに雰囲気が似てるな、と言う印象でした。 ところが、第2楽章(アダージョ)は、シューマンの交響曲2番第2楽章でオーボエが唄い出す悲しげな主題と似た旋律がちらりと見え隠れ。 というか、主題を引用してる、と言う方が正確かも。第3楽章(スケルツォ)は、おそらく三部形式(複合三部形式かもしれませんが・・・)。 チェコの舞曲風?、そんな印象です。第4楽章(フィナーレ)は、第1楽章のようにメンデルスゾーンのカルテットを髣髴とさせる雰囲気で、 スケルツォ楽章の後を受けて舞曲風の旋律が心地よいです。
「主題と変奏」は、明確に誰に似ている、ということはいえないものの、シューマンやメンデルスゾーンのエコーが聴こえてきます。 ある変奏では、「もしワーグナーがカルテット書いてたらこんな感じかな?」と思わせる曲想が出てきたり。 変奏が進むにつれて、前期ロマン派的な曲想から後期ロマン派的な曲想ヘと移り変わっているように思えます。
イ長調の弦楽四重奏曲はこのCDに収められている3曲の中では最も若い時期に書かれた作品ですが、 第1楽章のメロディと響きは3曲の中では最も斬新と言えそうです。後に書かれるト長調のカルテット(前述)が、 シューマンやメンデルスゾーンに似た雰囲気であるのに、この楽章は、ブラームス的な響きが聴き取れるのです。 第2楽章は緩徐楽章で、約50年後に書かれるヤナーチェクのカルテットに似た響きをところどころ聴き取る事が出来ます。 第3楽章は舞曲風の主題が心楽しいアレグレット楽章。第4楽章(アレグロ)は、 シューベルトの後期のカルテットのアレグロ楽章に雰囲気が似ているように思えます。

フィビヒの残した3曲の弦楽四重奏曲を聴くと、主としてシューマンやメンデルスゾーンの影響が大きいように思えるものの、 シューベルトの後期の作品や、ブラームス風、あるいはワーグナー風の響き、 果ては半世紀後に書かれるヤナーチェクのカルテットを先取りするかのような響きも垣間見えました。 弦楽四重奏曲に関して言えば、スメタナやドヴォルザークよりも、ドイツロマン派に傾倒していたのかな、と言う印象を受けました。

ブラームス チェロ・ソナタ
長谷川 陽子(vc) パーヴェル・ギリロフ(p)
ブラームスの2曲のチェロ・ソナタは、私が初めて聴いたブラームスの室内楽です。 ブラームスのチェロ・ソナタは2曲とも非常に渋い、どちらかと言えば地味な曲ではあるのですが、 長谷川陽子のチェロがとても瑞々しく旋律を唄わせていて、とても聴きやすいCDです。
チェロ・ソナタ1番は、暗く内向的な性格の曲。第1楽章の、低くつぶやくようにチェロが唄いだす第1主題と、 暗く情熱的な第2主題が共に印象的。第2楽章は、軽快でありつつも寂しさが見え隠れするメヌエットの楽章。 第3楽章は、第1楽章の第2主題とも似た雰囲気の、暗く情熱的なアレグロ楽章。 1番のソナタでは、チェロの音域がかなり低く、重厚な印象を受けます。
チェロ・ソナタ2番は、1番とは対照的に開放的で明るい印象を受けます。第1楽章の冒頭からして1番のソナタと異なり、 ピアノのトレモロに乗っかってチェロがいきいきと唄いだすところなど、とても快活。 第2楽章のアダージョは、どこか懐かしい感じのする叙情的な楽章。 第3楽章は、激しさを帯びたスケルツォ風のアレグロ楽章。 第4楽章は、穏やかで優しい感じのするアレグロ楽章。

ブラームスの2曲のチェロ・ソナタは、1番がチェロの低音域を重点的に使って、暗く重厚な雰囲気を醸し出している一方、 2番の方は低音域から高音域まで幅広く使って快活な印象を与える、という点で対照的な2曲です。

J.S.バッハ 「フーガの技法」
ジュリアード弦楽四重奏団
バッハのフーガの技法、というと演奏楽器の指定がない、ということで、ピアノやチェンバロ、 オルガンといった鍵盤楽器による演奏はもちろんのこと、ここで紹介するような弦楽四重奏による演奏、 室内オーケストラや木管五重奏(ピアノと木管のための五重奏だったかもしれません)による演奏もあるようです。 私がはじめて聴いたのは、ジュリアード弦楽四重奏団によるこの演奏。

たった1つの主題を基に編み出される様々なフーガは、バッハが対位法と変奏の技術を全てつぎ込んだといっても過言ではなく、 とても精緻な音楽です。精緻ではあるけれど、無機質さ、冷たさとは無縁の、とても胸に迫る音楽。
第1曲の冒頭、第2ヴァイオリンに出てくる主題が、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラへと順に引き継がれ、 4つの楽器のそれぞれがゆったりとしたテンポで旋律を唄わせているところですっかり心を奪われ、気が付いたら2枚組、 合計90分を聴き通してしまいました。

滅多にやらないのですが、一人でぶらっと山歩きをする事があって、そのときはウォークマンでこの演奏を聴きながら、 山道を一歩一歩踏みしめて歩きます。 フーガの技法を聴きながら山道を歩いていると、嫌なことを全て忘れ、無心な気持ちになれるのです。

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