お気に入りのCD/DVD - オペラ

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オペラのCD/DVDが3件見つかりました。

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ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」
シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 モントリオール合唱団(イワン・エドワーズ指揮)
コレット・アリオット・ルガズ(Soprano:メリザンド)
ディディエ・アンリ(Tenor:ペレアス)
ジル・カシュメル(Bariton:ゴロー)
ピエール・トー(Bass:アルケル)
クローディーヌ・カールソン(Alto:ジュヌヴィエーヴ)
フランソワ・ゴルフィエ(Soprano:イニョルド)
フィリップ・アン(Bass:医者、羊飼い)
ドビュッシーが完成させた唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」は、私が最も好きなオペラで、ハンドルネームのPelleasも、タイトルロールのペレアスから採りました。

あらすじ
狩りの途中、森の中で道に迷った王子ゴローは、泉のほとりで泣いているメリザンドを城へ連れて帰り、結婚する。
城に帰ってからのメリザンドは、ゴローの父親違いの弟ペレアスと少しづつ仲良くなり、次第にゴローは嫉妬に苦しみ始める。
「父の具合がよくなったから旅に出ます」とペレアスは、出立の前の夜にメリザンドと逢い、城の外の泉のほとりで二人は抱き合う。 ここで初めて二人はお互いに「好き」と気持ちを打ち明ける。抱き合う二人を見たゴローの嫉妬と怒りは最高潮に達し、ペレアスを刺し殺す。
ペレアスが亡くなったあと、メリザンドは「ただ、何の理由もなく、生きていられなくなり」、病に伏せる。そのベッドの傍らで 「おまえとペレアスは道ならぬ間柄だったのか」とメリザンドを問い詰めるゴロー。メリザンドはゴローの問いかけにもまともに答えることもできず静かに息を引き取る。

このオペラの中で劇的な部分は、ペレアスとメリザンドが抱き合い、ペレアスがゴローに刺し殺されてしまう第4幕の第4場くらいで、 あとは静かに音楽と物語が夢の世界のように流れていきます。オーケストラが描き出している情景や感情は、具体的に「このメロディがこの場面や感情を表している」 というものではなく、聴き手によってどのようにでも感じることのできる、多義的なもので、それは、台本についても同じことが言えます。
台本は「青い鳥」の童話で有名なメーテルランクの戯曲「ペレアスとメリザンド」を、一部省略した以外はほとんどそのまま使っていて、ドビュッシー自身、
「ものごとを半分まで言って、その夢に僕の夢を接木させてくれる」
という理由から、この戯曲をオペラの台本にした、といいます。

私がこのオペラを好きな理由は、やはり、台本自体がものごとを半分しか言わず、音楽が残りの半分を暗示的な形でしか表現せず、 それゆえ聴き手である私に情景や感情を想像する余地を残しているからです。

R.シュトラウス「サロメ」
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヒルデガルト・ベーレンス(Sopran:サロメ)
カール=ヴァルター・ベーム(Tenor:ヘロデ)
アグネス・バルツァ(Mezzosopran:ヘロディアス)
ヨセ・ヴァン・ダム(Bariton:ヨカナーン)
ヴィエスワフ・オフマン(Tenor:ナラボート)他
あらすじ
ユダヤの王女サロメは、王宮の饗宴の場からテラスへ抜け出してくる。テラスの傍らにある古井戸の中に幽閉されている預言者ヨカナーンに恋心を抱くが、 一も二もなくヨカナーンに拒絶される。サロメに対して淫らな感情を抱いている義父であるヘロデ王の
「わしの前で踊ったら欲しいものを何でもやろう」
という言葉を聞き、サロメは「7つのヴェールの踊り」を踊る。サロメは踊りの報酬に「ヨカナーンの首を頂きとうございます。」と、一言いう。 ヘロデ王があの手この手でなだめすかしても、サロメは頑なにヨカナーンの首を求める。折れたヘロデ王は、ヨカナーンの首をサロメに与える。
ヨカナーンの生首を手にしたサロメは、ついにヨカナーンを手に入れた喜びを歌い、生首に接吻をする。
ヘロデ王は、兵士達に「あの女を殺せ!」と命じ、サロメを処刑する。

R.シュトラウスが、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」のドイツ語訳を台本にオペラを書く事を決めたとき、マーラーは強硬に反対したという。道徳的な見地からも、 カトリック教の国では公演が許可される見込みがない、という点から。とはいえ、グラーツで行われた「サロメ」のオーストリア初演を聴いたマーラーは 「サロメ」を高く評価し、自身が監督を務めていたウィーン歌劇場で上演しようとしたという。もっとも、当時の内閣が強硬に反対したため、上演はされなかったようであるが (アルマ・マーラーの回想録より)。

サロメの振る舞いで注目すべきところは、ヨカナーンを殺す事によってヨカナーンを手に入れるというところと、欲しいもの(ヨカナーンの首)を手に入れるためであれば 義父の目の前で7つのヴェールの踊り(これって、現代で言えばストリップですよ・・・。)を踊るというところ。
欲しいものを手に入れるためであれば手段は選ばず、しかも手っ取り早く手に入れる。 ある面では、ブランド物を買うために援助交際すら厭わない、現代の一部の女子高生と共通するように思えます。
どちらにも共通するのは、欲しいものは何でも簡単に与えられ、徹底的に甘やかされて育った、という点か?

いちばんの聴きどころは、最後にサロメがヨカナーンの生首に接吻したときの音楽の妖しいまでの美しさと、ヘロデ王が最後に
「あの女を殺せ!」
と叫び、サロメが処刑される部分の音楽の荒々しさ。サロメが歌い終わったあと、オーケストラが陶酔的な音楽を演奏し、 ヘロデ王が叫ぶ直前、トランペットが短い一音を放つ事で一瞬にして音楽の流れが変わり、ヘロデ王が叫び、荒々しい強奏で幕を閉じるところなど、 シュトラウスの手腕に思わず唸ってしまいます。
私は、「サロメ」を始めて聴いたとき、この最後の部分でマーラーの交響曲第6番の終楽章のコーダを連想しました。

ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」
ピエール・ブーレーズ指揮 ウェールズ・ナショナル。オペラ管弦楽団・合唱団(ガレス・ジョーンズ合唱指揮)
アリスン・ハーグレイ(Soprano:メリザンド)
ニール・アーチャ(Tenor:ペレアス)
ドナルド・マクスウェル(Bariton:ゴロー)
ケニス・コックス(Bass:アルケル)
ペネロープ・ウォーカー(Alto:ジュヌヴィエーヴ)
サミエル・バーキー(Boy Soprano:イニョルド)
ピーター・マッソーキー(Bass:医者、羊飼い)
ペーター・シュタイン(演出)
ドビュッシーが完成させた唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」は、以前にもデュトワ指揮のCDを紹介していますが、今回はDVDの紹介です。 何でも、初演(1902)以来はじめての映像収録(1992)とのこと。 台本は「青い鳥」の童話で有名なメーテルランクの戯曲「ペレアスとメリザンド」を、一部省略した以外はほとんどそのまま使っています。

あらすじと演出について
狩りの途中、森の中で道に迷った王子ゴローは、泉のほとりで泣きじゃくっている、 素性も知れない若い娘メリザンドを見つけて結婚し、城へ連れて帰る。
城に帰ってからのメリザンドは、ゴローの父親違いの弟ペレアスと少しづつ仲良くなっていく。 次第にゴローは嫉妬のために苦悩し、その嫉妬の炎はだんだんと燃え上がる。
ペレアスの父は病気であったが病状が快復し、「父の具合がよくなったから旅に出ます」とペレアスは、 出立の前の夜にメリザンドと逢い、ここで初めて二人はお互いに「好き」と気持ちを打ち明ける。 城の外の泉のほとりで抱き合い、接吻を交わす二人を見たゴローの嫉妬と怒りは激情と化し、ペレアスを刺し殺す。恐怖におののき逃げ惑うメリザンド。 自分も剣で自害しようとするが死ぬには至らなかったゴロー(これは原作にはなく、演出家の解釈)。
ペレアスが亡くなったあと、メリザンドは、医者が言うには「こんな傷では小鳥でも死にません」という程度の傷しか負っていないものの、 「ただ、何の理由もなく、生きていられなくなり」床に伏せる。その床の傍らで「おまえとペレアスは道ならぬ間柄だったのか」と メリザンドを問い詰めるゴロー。 メリザンドはゴローの問いかけにもまともに答えることもできず静かに息を引き取る。 そのあとにはメリザンドが産み落としたゴローの子供が遺される・・・。

私は「ペレアスとメリザンド」に限らずオペラの実演を未だ観たことがないのですが、劇中、本物の鳩や羊を使っているのには驚きました。 通常の「ペレアスとメリザンド」の実演では、小道具(ないしは大道具?)を使うのでしょうか?
このDVDでは、間奏曲や前奏曲に総譜を映し出しているのですが、ところどころ見られる書き込みはもしかするとブーレーズの自筆かも。
全ての歌手が語るような感じで歌い、その語る内容や感情と見事なまでに呼応した音楽。 ドビュッシーが10年もの歳月を費やしたという「ペレアスとメリザンド」だけでも彼の功績は充分すぎるくらいでしょう。

第1幕第1場で、ゴローが森の奥の泉でメリザンドを見つける場面の音楽は、メリザンドの神秘性を醸し出し、 第3幕第1場、眠る前に歌を歌いながら塔の窓辺で髪の手入れをするメリザンドの歌声に引き寄せられるようにやってきたペレアスが、 塔の窓から垂れ下がったメリザンドの髪に接吻し、愛撫する場面の音楽は、 ペレアスのほのかな恋心をおだやかな官能性を持って演奏することで表現しています。
一方、第3幕第4場、ペレアスとメリザンドが何をしているのか、息子のイニョルドを使って盗み見させ、 その様子をイニョルドから聞く度に怒りと嫉妬に燃え上がるゴローの感情と、イニョルドの無邪気さとのコントラストを、 ドビュッシーの音楽は見事に描き出しています。
物語のクライマックスは第4幕第4場。出立する前の夜、ペレアスとメリザンドは城の外の泉で出会い、初めてお互いの気持ちを打ち明けます。 このときのハープと弦の弱音が2人のひそやかな嬉しさを音色で語っているように思われます。 第4場の最後、二人が接吻し、ペレアスが「星がみんな降ってくる」と最高音に近いテノールで、メリザンドも「わたしにも」と絶唱し、 クライマックスが訪れた直後、ゴローはペレアスを刺し殺し、恐怖に怯えたメリザンドが逃げ惑うという物語の急転回に、 メーテルランクの台本の巧みさを読み取ることができ、そして、その巧みな筋書きにぴったりと呼応した音楽をつけたドビュッシーの才能、 そしてその音楽と台本をしっかりと自分のものにしているブーレーズの解釈に、思わずそのシーンを繰り返してみてしまうほど感嘆します。
第5幕第1場、病床のメリザンドに、自殺を果せず傷を負ったゴローが「そなたはあれ(ペレアス)と禁じられた愛を持ったのか」、 「そなたたちは罪を犯したのか」と問い詰める場面、日本的な言い方をすれば人間の業の深さを感じずにいられません。
対するメリザンドが「罪など犯していません」と弱々しい声で応えるところで、 「罪」という言葉に対する二人の思いが全く違うことがありありと示されてしまうところにも、人の心の奥深さを感じぜざるをえません。 劇の最後、静かに息を引き取りつつあるメリザンドになおも問い詰めようとするゴローに、
「魂というものが何であるかそなたは分かっておらぬ」
と諭す、老王アルケルの言葉は、その姿(白い着物に茨の冠のような、キリストのような姿)と共に、 人の心、魂の奥深さを悟りきった重みを感じさせます。

メリザンドが息を引き取ったあとに鳴らされる静かな鐘の音は、メリザンドへの弔意を示すかのごとく、静かに悲しげに響き、幕を閉じます。

演出に関する追記(2004/7/30)
ドビュッシーの台本では、「ゴローがペレアスを斬り殺した後に自殺しようとする」と言う記述はない。
しかし、メーテルランクの原作の第5幕第1場(ドビュッシーの作品では省略された場面)では、 「ゴローが剣を脇腹に刺して自殺しようとして死ねなかった」と言う事が書かれており、 これを、ペレアスを斬り殺した後にゴローが自身に剣を突き立てる演技をすることで表現した今回の演出は、 ドビュッシーの台本のみならずメーテルランクの原作にまで踏み込んでいることを表しており、この演出は評価すべきものであろう。

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