CD/DVD検索結果

ジャケット写真をクリックするとAmazon.co.jpの該当商品ページを表示できます。

バルトークのCD/DVDが1件見つかりました。

1件目から1件目まで表示します。

バルトーク 弦楽四重奏曲全集
Hagen Quartett
ハンガリー人であるバルトークは、その生涯に6曲の弦楽四重奏曲を書き残し、その6曲は「現代の弦楽四重奏にとっての古典」と言われるほど、緻密な音楽です。 第2次大戦後、共産主義支配下のハンガリーでは、バルトークの弦楽四重奏曲は前衛的という理由で演奏を禁じられていたと、 ハンガリー出身の作曲家リゲッティは回想しています。

第1番は1908年から1909年にかけて作曲され、後期ロマン派的な色彩の濃い作品。切れ目なく3つの楽章が演奏されるこの曲、 めまぐるしくリズムが変化し、無調的な旋律が続くので、初めて聴いたときは少ししんどいものがあったのですが、 昨年(1999年)コンサートで2度実演を聴き、今年に入ってハーゲン・カルテットの演奏を聴く頃には耳が慣れてきて、 ラプソディックな曲想を楽しむ事ができるようになりました。この曲、シェーンベルクや、ドビュッシー、ラヴェルの影響を受け、 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲14番にもヒントを受けている、と言われているようですが、曲全体の印象としてたしかに「盛り沢山」な感じを受けました。 とはいえ、すでに自分自身の語法で音楽をまとめ切っているのがバルトークの音楽の素晴らしいところ。

第2番は1915年から1917年、第1次世界大戦中の作品。第1楽章は、無調的な旋律に始まり、 古典や前期ロマン派音楽に慣れた耳には不安定な旋律とリズムで音楽が進んでいきます。 戦争がバルトークに暗い影を投げかけているのだろうか、とも思わせるこの楽章、後半の部分で日本人の耳には妙に懐かしい印象を与える民謡風の旋律が現われます。 第1楽章を聴いたとき、「とても不安な夜」という心象風景をなぜか連想しました。私個人の話ではあるのですが、立場上、 気持ちを伝えにくい女性に恋愛感情を持ってしまって感情が不安定に揺れ動いていたとき、この第1楽章を好んで聴いていました。 第2楽章は一転して、荒々しいくらいの激しさを持った音楽。リズムが複雑に変化するこの楽章、北アフリカ民謡の研究成果を取り入れているとか。 第3楽章は、静かで、微妙なニュアンスをたたえたレント。「夜の音楽」と形容するのがぴったりしそうな音楽。 とは言え、モーツァルトのそれとも、マーラーのそれとも異なる、不安な気持ちを胸の内に秘めた夜、という印象を受けます。

第3番は1927年の作品。単一楽章の曲ながら、CDでは第1部、第2部、コーダというトラックの切り方をする事が多いようです。演奏時間も15分強と、 バルトークの弦楽四重奏曲の中では最も短いものですが、作品はかなり斬新。 リズムの複雑さと、様々な特殊奏法を駆使して音色に微妙なニュアンスを醸し出しているところなど、バルトークの面目躍如、と言ったところでしょうか。

第4番は1928年の作品。5楽章からなる第4番、続く第5番と共に5楽章構成で、第3楽章を中心として第1楽章と第5楽章、 第2楽章と第4楽章がそれぞれ関連を持つ、バルトーク特有のアーチ構造の作品です。 特に印象的なのは第3楽章と第4楽章。第3楽章はレントで、第2番のレント楽章とも共通する、夜の音楽。 中間部分でヴァイオリンが鳥の鳴き声を模しているのがなんとも耳に残ります。第4楽章は全曲を通じてピッツィカートで演奏されます。 その音色の繊細さ、微妙さはなかなか興味深いです。

第5番は1934年の作品。第4番と同じく、5楽章構成でアーチ構造をもつ作品ですが、第4番で見られた音響的な斬新さや、 リズムの複雑さは影をひそめているように思えます。

第6番は1939年の作品。ナチスがチェコを占領し、バルトーク自身も母を失い、世界情勢が戦争に向かっていく中で、ヨーロッパ文化の伝統が失われてしまう予感、 そういった事情から全曲に悲しみと諦念が満ちていて、4つの楽章全てにメスト(悲しげに)という発想標語が記されています。 バルトークはこの弦楽四重奏曲を作曲したあと、祖国ハンガリー、そしてヨーロッパを離れ、アメリカに亡命します。 そしてアメリカで貧困のうちに1945年亡くなるのですが、後世からそのような事情を振り返る私達は、第6番の中に悲しみと諦念だけでなく、 バルトークがヨーロッパとの永遠の別離を予感してそのような感情を盛り込んだ、とも感じて、そのような思いを聴き取りがちです。 第6番の終楽章である第4楽章を聴くと、その音楽の悲痛な響きの中に、どうしても悲しみと諦念だけでなく、永遠の別離の予感をも感じてしまいます。

私は、バルトークの弦楽四重奏曲全集は、ハーゲン・カルテットのこのCDの他に、巌本真理四重奏団の全集(音源が放送用の録音で、 放送時間の関係から第5番の第4楽章が省略されている)と、東京カルテットの全集(グラモフォンからリリースされている盤)とを持っており、 3者を聴き比べてみると、時代が下るにつれてカルテットの演奏技術が上がって、解釈もよりこなれてきている、という印象を受けました。 巌本真理四重奏団や東京カルテットの演奏を聴くと、「現代音楽に必死で取り組んでいる」という印象を受けるのですが、 ハーゲン・カルテットの演奏を聴くと、このカルテットが現代曲も積極的に演奏しているという事情もあるのでしょうが、 バルトークの弦楽四重奏曲をもはや古典音楽として捉え、気負いなく演奏しているように思えます。

ホームページへ

検索画面